あの日見たポンコツ新人の名前を僕達はまだ知らない②
前章の新人のスペックだけ見たら、かなりベテランのオールドルーキー像が浮かぶはず。
まあ最初はそういう印象だった。だが、違和感あったのは、地域性、という話からだ。
我々の事業所のある街は、元がつく企業城下町。
かつては家電メーカーとして白物家電中心に工場がフル稼働、運動会・文化祭とそれは派手にやったし、法人税も入ったからそれはそれは豊かな街だった。だがしかし、企業が勢いを失っていくと、街もそれに引き摺られる。現役人口が減り、高齢化率が上がる。そういう状況の中で考えなきゃいかん課題ってあるんだよって話をした時。
「田舎だから仕方ないですよね。大体、大学も誘致出来ないくらい民度低いんじゃないですか。」
大学誘致と民度とやらは、比例するとは知らなかったよ。きみは知らんかもしれないけど、一応国立大学の学部のキャンパスはあるんだよ。きみからしたら工学部も「民度」とやらが低いという認識かもしらんがね。
きみのロジックでいくと、「大学も誘致出来ないド田舎」でコネ採用されたきみは、ものすごい「上級国民さま」か?
こんなことで腹立てちゃいかんけど、そのド田舎でしか出来ない趣味とやらのためにお引越しされた上級国民さまは、利用者さんもそういう目で見てるのか、と思うと同時に、アラフィフで分別ある大人が雑談とはいえ、そんな色眼鏡で見た世界観を簡単に口にするのは嫌な印象しかなかった。
ここで言うぶんにはかまわんけど、利用者さんの前では言うなよ、と釘さしたけど。