転職消耗プランナー的日常

みんなー、消耗してるかーい?

あずみの里控訴審から考える③

   控訴審での被告側弁護人の主張に、「看護師の業務に食事介助は含まれていない。ゆえに食形態の確認義務なし」というのがある。

 

   さて。それは通るのか?

https://www.kango-roo.com/kokushi/kako/detail/2223/1

 

   看護師国家試験からの引用である。選択問題だったとは言え、これらが介護施設における看護師業務と定義すれば、確かに食事介助は含まれないという主張は間違いではない。 

   あずみの里関連ニュースに関するツイートを探した時に、「うちの看護師は排泄介助も食事介助もする」「食形態の確認義務がないは通らない。施設によって、食事の指示箋を作るのは看護師だ」というものもあった。

    家族への療養上の指導、を考えれば、女性利用者が嚥下が困難な状態にあるので、食形態を変更する。一部報道であったように「女性利用者は食事摂取自体は自立だったが、1度に大量に食べ物を詰め込む傾向があった」のを、家族に説明するのは看護師ということにならないか。事故前に家族に施設から充分な説明があったかどうかについての報道記事が得られなかったので、これ以上はなんとも言えない。

 

   そして、フォロワーさんから指摘があったが、「看護師に食事介助の義務はないという主張が、訴訟事態をこじらせた」という点。

 

  いきなり刑事的責任を問う話になった訳ではあるまい、と思う。以前管理者研修で聞いた3種類の責任を思い出したので、餅は餅屋で本業の方のブログを引用させていただく。

 

http://ogawalaw.hatenablog.com/entry/2014/05/25/111139

 

   遺族もいきなり、「うちの家族を殺しやがって!被害届出してやるからな!」ではなかったろう。

   施設も「この度は大変な事故を起こしてしまい、大変申し訳ございません。今後につきましては、検証の上、ご説明し然るべき対応をいたします」という対応はしたはずだろう。

    しかし。初動で行き違いがあると、事態は拗れる。まさかとは思うが、「看護師に食事介助の義務はないので、ドーナツかゼリーかを確認しないのは仕方ないです」「お母さんには、一度に口に食物を詰め込む傾向がありましたので、事故はいつか起きました」なんてことを釈明の場で口にする上層部はいないと思いたい(個人的な経験レベルでは、何人かいる。)

    そして、家族側も「加齢によって心身の機能が緩やかに低下していく家族の実情を理解していたか否か」「プロに任せたんだから、たとえ詰め込むようなことがあっても、窒息なんぞ絶対させないのが当たり前」という認識であると、不幸しか生まれない。

    民事でなく、いきなり刑事罰を問う方向にまでなった背景に、この辺りの事情があったかないかによって違ってくる。

    だとすると、施設側が「身内だから」と看護師を庇うような釈明をして遺族の感情を逆撫でしたのか、遺族が「好物は窒息しない」とかのトンデモで施設側の釈明に耳を貸さず、いきなり刑事罰をということになったのか、である。

 

   しかしなぜ、こういう事件に自称介護インフルエンサーや自称最先端の介護起業家でなく、「業界の闇」と下河原社長に十把一絡げにされた私が書いているのか謎だ。