転職消耗プランナー的日常

みんなー、消耗してるかーい?

オールドルーキー指導血風録③

  もうサブタイトルめんどくせえ。

  

   福祉用具選定の件のゴタゴタは、ボスとパイセンに報告した。年齢的には私が上だが、事業所内でのキャリアはふたりのが上だし、介護福祉士時代から実習生指導もしている2人なら、何か私が見落としたヒントを見つけてくれる。

 

「覚えは早いですけど、新人さん、木を見て森を見ないタイプですよね。気をつけてもらうように、俺からもいいます。」

   

   おー、なるほど。確かにそうかも。

 

「柴さん、はっきり言っちゃいましょうよ。単にアタマでっかちじゃね?って」

 

   パイセンんんんんん!それ言っちゃダメー!!ほら、まだ1か月めだし!肩に力入ってんですよ!あたたかく見てあげ(ry

 

「なーんかやらかしそうですよねー」

 

   まさか、このふたりの見立てが現実のものになろうとは。

 

  2件目は新人にご指名だった。

   依頼主は、法人内の小多機管理者、Cさん。

   ボスとパイセンを介護福祉士・ケアマネとして育て上げたベテランで、丁寧なお仕事をする方だが、忙しすぎて大丈夫かってくらい捕まらない人である。

   紹介ケースはご夫婦。共に80代。ご主人は悪性脳腫瘍で余命宣告済。奥様は中度のアルツハイマー認知症で内服管理がまるで出来ず、ご主人の介護も困難。県外から来た娘さんが泊まって介護中。元気なうちに以前行っていたうちの法人のデイを希望するので、小多機から変更したい。外へ出るのを億劫がっている奥様も一緒に、とのこと。

   お二人とも認知機能に低下が見られ、ご主人は病識がない。発病前に取り組んでいた余暇活動は、遂行機能の低下があるので、おそらく出来ない。体調管理と娘さんの休養確保も考えると、デイが駄目だった時の保険として、小多機の受け入れも準備しておきます、がCさんからの申し送り。   

   順番が逆になったが、ご主人は区分変更中である。呼称は、D夫、D妻、D娘としよう。

   新人でも乗り切れるように、Cさんの心遣いが感じられる申し送りかつお膳立てである。しかし、木を見て森を見ない新人、「悪性脳腫瘍」「余命宣告」を「看取りケース」と誤変換した。

 

「柴さん、看取りですから訪問看護入れなきゃいけませんよね?」

 

「デイ行くんじゃないの?そんな重体なの?」

 

「車椅子には座れます。会話も食事も出来ます」

 

「褥瘡があるとか?」

 

「ないです。」

 

「すぐには要らないでしょ。まずはデイに行けるかどうかだから、娘さんに話を聞こうよ。」

 

   看取りかどうかより、「今はそこそこ元気で、デイにはいけそう」がなんで「看取り」に変換されんの?大丈夫かい?心配だったのが伝わったのか、新人は娘さんとの面談に同席してほしいと言ってきた。

 

   結論から言うと。面談の間ハラハラしっぱなしだった。疲労でテンションが高くなった娘さん、立板に水の勢いでしゃべる。父親が元気なうちに、好きなことをさせたい、でも母も心配。認知機能が低下したふたりの介護は大変。一旦休みたい。

   ふむ。まずは、D夫が区分変更中であるし、病識がない本人が発症前のようにアクティブに余暇活動が出来るかを見なくてはならない。D妻については、デイ利用に消極的だが、小多機は嫌がらずに利用している。ならば、一旦夫婦別に支援でよいのでは。

 

「区分変更前は要介護2ですか!じゃ、仮のプランは要介護3で作ります!」

 

   待て新人。介護度が上がるとは限らないって、教えたんだけど。認定調査員もドクターも言わないよう注意してるって。

 

「申し訳ございません。介護度については、正式な結果を待たないと分からない部分もありますので、申請前の介護度で作成します。」

 

   セーフ。これ初めてだから仕方ないけど、繰り返したらまずいからね。新人は事務所に戻って、なんか作業を始めた。

 

「サービス計画書必要ですか?」

 

  区分変更中だから、無理に作らなくても。まああったらいいに越したことはないから、やっておこうか。あと、請求ソフトの使い方教えるけど、利用表と提供票作って、見積もりをD娘さんに見せてね。

 

   まあここまではよかった。

    このあと、5件連続新規来て、ボスとパイセンに指導をお願いしてからがひどかった。